編集日誌

本田英郎

2011年11月17日update

事情により、しばらく編集日誌を綴ることができませんでしたが、また始めます。まずはお知らせです。

文化学院創立者である西村伊作と与謝野晶子、あるいは歌人の窪田空穂、元駐日フランス大使で作家のポール・クローデル、画家の竹久夢二たちが、1923年の関東大震災のとき、何を見つめ、考え、表現へと結びつけていったのか、に焦点をあてたシンポジウム「表現者たちの関東大震災」が開催されます。なお、文化学院は、1921年の創立後、2年後に震災により全焼している。

シンポジウム「表現者たちの関東大震災」

日時 2011年12月4日(日) 13時~17時
場所 文化学院講堂
主催 明星研究会
後援 文化学院、毎日新聞社

2011年2月8日

ジャン=リュック・ゴダールのみずみずしい傑作『ゴダール・ソシアリスム FILM SOCIALISME』(2010)は、東京での公開は終わりましたが、大阪や札幌ではこれからです。映画のみならず、美術や音楽を志す若い人にも見てほしい。予告編も必見。

http://www.bowjapan.com/socialisme/trailer/

2011年2月7日

1月27日の日誌でお知らせしたセミナー「西村伊作という人がいた」は、たくさんのお申し込みを頂きました。ありがとうございました。申し込みは終了させて頂きました。

2011年1月27日

2月24日(木)、19時より、d-labo(スルガ銀行ミッドタウン支店内、港区赤坂9-7-1ミッドタウン・タワー7F)で、セミナー「西村伊作という人がいた」を開催します。与謝野晶子らとともに文化学院を創立した建築家・芸術家の西村伊作の素顔を、作家の黒川創さんと文化学院クリエイティブ・メディアセンター研究員で伊作の孫である立花利根さんが語ります。黒川さんによる伊作の本格的評伝が新潮社から近日刊行の予定です。

セミナー「西村伊作という人がいた」(文化の杜 第1回 創立90周年を迎えるにあたって)
d-labo(d-log セミナー情報)

2010年11月28日

12月5日(日)に、シンポジウム「文学者の大逆事件——<リアル>の衝撃」が開催されます。
文化学院講堂にて。

「文学者の大逆事件——<リアル>の衝撃」
『埋もれた声——大逆事件から100年』(2010年8月22日放送、NHK)

2010年11月16日

フォーサイス・カンパニーの安藤洋子さんのトーク・イヴェントを下記の要領で行ないます。

フォーサイス・カンパニーの安藤洋子さんと創る

2010年11月15日

松原弘典さんとの対話はいつも突然に始まる気がする。移動し、世界のある場所に自分を埋め込んでいく速度感。

クリエイティブ・カフェ vol.19
松原弘典「建築を“真剣に”つくりたい:コンゴアカデックス小学校設計建設プロジェクト」
http://bunka.gakuin.ac.jp/cmc/cafe/019/
http://bunka.gakuin.ac.jp/cmc/creation/#congo

松原研の記事
http://matsubara-labo.sfc.keio.ac.jp/blog/2010/11/post_101.html

2010年11月14日

先日、打合せのために川口のメディアセブンを訪れると、駅前の比較的広い敷地にあふれる緑が秋の色に彩られていた。お茶の水の文化学院・クリエイティブ・メディアセンターの研究室の前に位置するマロニエ通りや、アメリカの大統領が帰国前に今日立ち寄るだろう鎌倉は、本格的な紅葉はまだこれから。私の実感では、一年中でいちばん鎌倉への観光客が少ないのは今頃のような気がする。街全体が黄と赤に彩られると、すぐに年末年始の賑わいを迎える。

メディアセブンは、東京駅から20分ちょっとなので、ぜひ訪れてほしい。開放的な図書館は、美術・映画など芸術系の蔵書が充実している。

メディアセブン

2010年11月5日

昨日、三浦哲哉さんにお会いした。次回のクリエイティブ・カフェは、「ブレッソン 007 スタローン──無作為性について」と題して、三浦さんにお願いする。スタローンの『エクスペンダブルズ』は公開中。三浦さんに教えてもらった、小説家の阿部和重さんのコメント。
http://twitter.com/sin_semillas

クリエイティブ・カフェ vol.18
三浦哲哉「ブレッソン 007 スタローン──無作為性について」

2010年11月4日

お茶の水の文化学院の前の通りは通称「マロニエ通り」といい、これから紅葉の美しい季節を迎える。などと考えていたら、2010年も残り少なくなってきたなあと思いつつ、でもまったく実感が湧かない。2011年、生誕百年を迎える気になる人。マーシャル・マクルーハン(朝日新聞の服部桂さんから聞く)、岡本太郎、入江たか子(文化学院出身)、ニコラス・レイ。

岡本太郎展は東京国立近代美術館で3月8日から始まる。
http://taroten100.com/

2010年10月29日

フォーサイス・カンパニーの安藤洋子さんが帰国中で、先日お会いしました。「からだ」や「感覚」をめぐってのトークと対話──ダンス、デザイン、建築、映画、写真、音楽などを横断して──のアイディアについて話し合う。12月に開催できればと思います。

ちなみに、広く知られているように、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で11月21日から開催される展覧会『杉本博司 アートの起源』のオープニングで、安藤さんは踊ることになっています。

なお、フォーサイスのダンスをアートやメディアツールに多彩に展開してゆく「フォーサイス・モジュール」のプレゼンテーションが、ドイツ文化センターでありました(10月21日)。このプロジェクトについては後日触れたいと思います。

丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
http://www.mimoca.org/
http://www.mimoca.org/event3_9.html

2010年9月17日

2010年8月30日から9月1日まで、新潟県越後妻有を訪れた。ジェームズ・タレルの作品《光の館》がメインの目的だ。直島の地中美術館、ベネッセアートサイト直島の「南寺」(設計は安藤忠雄)、金沢21世紀美術館などでタレルの光をモチーフにした作品を「体験」していたが、越後妻有では作品に「宿泊」できる。

夕刻を迎え、デザイナーの上田和秀さんが谷崎潤一郎の『陰影礼賛』をそっと茶色の机の上に置く。それぞれが仰向けに姿勢を整え、切り取られた「空」への傾注が始まった……。

光の館

2010年8月18日

前回の続き。荒川修作さんのインタヴューを、ICCのアーカイヴ「HIVE」で見ることができる。ICCインタヴュー・シリーズのひとつとして撮ったもので、映像のほかに文章としても読むこともできる(『マルチメディア社会と変容する文化』、監修:浅田彰、NTT出版、1997年)。

ICCインタヴュー・シリーズ No.2 荒川修作

2010年8月1日

荒川修作さんと磯崎新さんの二度の対談の場にいあわせ、編集をしたことがある。ICCの機関雑誌『InterCommnication』に掲載したものだ(のちに磯崎さんの対談集『オペラシティの彼方に』に再録)。

ニューヨークから送られてくる対談の加筆版はいつも真っ赤であった。大きくはっきりと書かれた文字は、すこしくせがあるのだが、やわらかく優しい文字だった。そこには荒川さんの「思想」が原稿用紙の余白にびっちり書き込まれていた。

1997年のICCのオープニング展覧会は磯崎さんの『海市』だったが、98年には荒川修作/マドリン・ギンズによる『新しい日本の風景を建設し、常識を変え、日常の生活空間を創りだすために』(1998年1月24日-3月29日、ICC)が開催された。

荒川さんは対話の相手によく「いいかね」と切り出す。磯崎さんに対しても「いいかね、磯崎君」と語りかける。磯崎さんを磯崎君と呼ぶ人を私は荒川さんしか知らない。ふたりのユーモアに満ちた対話をもう聞けないのが寂しい……。

磯崎新「美術家・荒川修作さんを悼む 究極の作品に昇華した「死」」(朝日新聞、5月22日)

2010年7月25日
多田富雄さんの思い出

ウィリアム・フォーサイスの振り付ける群舞、それはまるで体のなかの細胞の動きを眺めているよう、多田さんはそう話した。生命は美しい調和のとれたものではなく、自己と非自己の区別さえ不確かなもの。フォーサイスの生み出すダンスはまさにそのようなことを想像させる。

今から十年ほど前、フォーサイス(当時はフランクフルトバレエ団)の本をつくった(『フォーサイス1999』)。東京大学赤門近くの多田さんの事務所に本を届けにいった。フォーサイスを肴に生物学、免疫学の話を伺い、都市を行き交う群衆や能楽にも話が及ぶ。調和と非調和について、システムと超システムについて。

多田さんとの実現しなかった仕事のアイディアは大事にしまってある。多田さんが亡くなられたあと、建築家の磯崎新さんの秘書である網谷淑子さんからお手紙をいただいた。多田さんと磯崎さんの実現しなかった対談のことを覚えていてくださり、わざわざ知らせてくださった。

『免疫の意味論』のページをふたたびめくってみようと思う。

ICCワークショップ「ウィリアム・フォーサイスの世界」
1996年4月1日、ラフォーレミュージアム原宿
ウィリアム・フォーサイス、ダナ・カスパーセン、浅田彰、磯崎新、多田富雄

2009年10月9日

いよいよこのWebマガジンがスタート! アトリエから見おろす隅田川には、早くもユリカモメが一羽、飛来している。
「都鳥やーい! これからぼくたちの旅も始まるよぉー!」(長)

本田英郎(ほんだ・ひでお)
1964年生まれ。編集者、クリエイティブ・ディレクター。文化学院 クリエイティブ・メディアセンター センター長/編集長。主として芸術文化・情報文化の分野で、書物・カタログ・映像・シンポジウム・ウェブの創作に携わる。NTT出版『インターコミュニケーション』編集長などを経て、現在に至る。主な編集書に、『フォーサイス1999』(浅田彰監修)、『この時代に想う テロへの眼差し』『良心の領界』『同じ時のなかで』(スーザン・ソンタグ)、『ゴダール マネ フーコー 思考と感性とをめぐる断片的な考察』(蓮實重彦)など。